官民パートナーシップによる開発事例
PARTNERSHIP
三峰川電力では、官民パートナーシップにより、小水力発電を、自治体と共同で導入する事業に取り組んでいます。
- 北杜市
- HOKUTO CITY
- 課題
- ISSUE
小水力発電の導入は「地球温暖化対策」や「エネルギーの安全保障」に直結し、地域にも恩恵がもたらされます。しかし、自治体が小水力発電に取り組もうと思っても、「建設費用の負担」や「開発ノウハウ」などの点が問題となり、開発に踏み切れないというケースが目立ちます。
一方、私たち事業者にとっては「各種の許認可の取得」が猥雑なのに加え、「地域に馴染みのない事業者に対する地元の反発」が起きるケースもあり、「地元の機運醸成や合意形成」に大きな労力が必要となることが障壁になります。
- スキーム
- SCHEME
そこで、官民パートナーシップを結ぶことで、私たちが「開発費用」や「運営」を担当し、自治体には「建設に必要となる各種申請や届け出業務の補助」を担当してもらうことで、スムーズに事業を運営し、相互のメリットを享受するのが狙いです。
- メリット
- MERIT
自治体には「一般財源(つまり税金)を一切使わず、また公募などの労力をかけずに、環境対策や地域の活性化をPRできる」というメリットがあり、事業者にとっては「行政機関のお墨付きを得たことで、地元の様々な協力が得られ、迅速かつ確度高く開発を進められる」というメリットがあります。
- 自治体の具体的なメリット
- MERIT OF MUNICIPALITIES
- 一般財源を使用することなく開発が可能。
- 開発ノウハウや専門的な技術者スタッフが不要。
- 初期費用、運営コストの負担が不要。
- 初期費用、運営コストの負担が不要。
- 地域起こし、環境配慮のPRができる。
- 事業者の具体的なメリット
- MERIT OF BUSINESS
- 許認可申請に要する時間の短縮化。
- 地域合意形成が得られやすい。
- 地域の情報が得られやすい。
- 情報活用により効率的な保全計画が立てられる。
- 官民パートナーシップの具体例
- PUBLIC PRIVATE PARTNERSHIP
「山梨県北杜市/北杜市村山六ヶ村堰ウォーターファーム(水のエネルギーを収穫する農場)」山梨県北杜市と三峰川電力株式会社とが協力して小水力発電所を稼働させている事例です。
北杜市は、この事業を環境施策の一つとして位置付け、「地域理解の促進」と「許認可取得」を全面的にサポート。一方、三峰川電力は60年近い経験の中で培った運営ノウハウにより、「事業計画」と「採算確保」を企画することで、双方の課題を克服したものです。
- 事業概要
- BUSINESS SUMMARY
「北杜市村山六ヶ村堰ウォーターファーム」は、平成19年4月から稼働している北杜市営の「北杜市村山六ヶ村堰水力発電所(320kW)」と、同じ水系(村山六ヶ村堰)に、新たに3つ(北杜西沢発電所・220kW)、北杜川子石発電所・230kW、北杜蔵原発電所・200kW)の小水力発電所を開発した先進的な事業モデルです。
建設にあたっては、北杜市と三峰川電力株式会社がパートナーシップを組んで「地域新エネルギー等導入促進事業」の社会システム枠を活用し、進めてきた事業(平成22年度~平成23年度)です。
小水力発電においては、単発的に建設するだけではなく、水系を面的に開発することがクリーンエネルギーの加速的導入に有効であり、本プロジェクトでは、同一水系に3つの発電所を建設しました。一つの発電所が小規模であっても面的に複数地点を開発することで、より大きな存在になり、一定の地域の電力を創出することが可能となりました。
また、面的な開発による建設期間の短縮、工事費の縮減を図ることができ、メンテナンスの効率化によるコスト縮減も期待できます。
3つの発電所から得られる年間推定発電量は約4,600MWhで、これにより年間約1932tのCO2削減効果が期待できます。また、既存の発電所を加えた4つの発電所から得られる年間推定発電量は約7,000MWhとなり、北杜市世帯の約10%の年間電力消費量に相当します。
本プロジェクトは、短期間のうちに3つの小水力発電所の導入を実現したもので、「官民パートナーシップ」と「面的開発」という2つの側面での成功事例として意味合いは非常に大きいものと自負しております。
今後、このプロジェクトが新たな「地点開発」の先進事例となり、「農業用水」などの積極的な利用や「小落差」に対する小水力発電の活用意欲の高揚等にも繋がることを期待しています。
- 北杜西沢発電所
- 北杜川子石発電所
- 北杜蔵原発電所の3つの小水力発電所を稼働。
- 出力320kW、埋設水圧管路延長1.27km、事業費:約4億4000万円。(村山六ヶ村堰水力発電所)
- 平成19年4月から運転を開始しており、発生電力は浄水場で使用。(村山六ヶ村堰水力発電所)
- 名水百選に認定されている世界かんがい施設遺産を活用し、次世代に引き継ぐため「人と自然と文化が躍動する環境創造都市」が市の基本理念。
- 受賞実績
- AWARDS
平成22年度・23年度/一般社団法人新エネルギー導入促進協議会の新エネルギー等導入加速化支援対策事業の社会システム枠に山梨県北杜市と三峰川電力が共同申請水力として全国ではじめて採択された。
自治体と事業者の強みを活用し、パートナーシップ体制を構築して事業を行うこととなった。
- 北杜市長/上村英司様ごあいさつ
- GREETINGS FROM THE MAYOR
北杜市は、3つの国立・国定公園を有し、八ヶ岳や南アルプスなど日本を代表とする山々に囲まれた全国有数の美しい山岳景観を誇る地域で、日本一のミネラルウォーター生産量を誇り、環境省の「名水百選」を3箇所有する全国唯一の市です。平成28年11月には、村山六ヶ村堰疏水が歴史的・技術的・社会的に価値ある施設として、世界かんがい施設遺産に認定されました。豊かな水を綺麗な空気に囲まれた自然は市民の誇りであり、まさに「山紫水明」の地です。環境日本一を目指した、小水力発電、太陽光発電の導入などの積極的な取り組みが評価され、平成21年6月には経済産業省の「新エネ百選」に選定され、平成23年12月には環境省の「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞しました。
人類は産業革命以来、その豊かさを化石燃料中心のエネルギーに依存してきました。その結果、資源の枯渇や地球規模の環境問題が大きな課題となっており、その対策を考えていかなければならない現在において、環境負荷が少なく無尽蔵の再生可能エネルギーは、今後ますます普及促進が期待されます。本事業は、水力発電事業における技術及び経営能力を有している三峰川電力株式会社を連携し、協力し合うことで、効果的かつ効率的な再生可能エネルギーの導入が実現いたしましたことに、心より感謝申し上げます。また、本事業にご理解、ご協力いただいた村山六ヶ村堰土地改良区、各地域の皆様方をはじめ、関係者の方々のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。環境創造都市・北杜市として引き続き、地球温暖化問題、エネルギー問題に積極的に貢献してまいります。
- 三峰川電力株式会社/代表取締役/冨田 剛あいさつ
- GREETINGS FROM THE PRESIDENT
世界中で環境意識が高まる中、三峰川電力では、CO2を排出しないクリーンな再生可能エネルギーである小水力発電を積極的に推進しています。約50年間の水力発電事業で培った知見やノウハウを発揮し、これまでに三峰川第三発電所(260kW)、三峰川第四発電所(480kW)、蓼科発電所(260kW)と3箇所の小水力発電所を開発してきました。
これらの取り組みが評価され、平成21年12月には、資源エネルギー庁の「新エネルギー大賞財団会長賞」を受賞しました。今回、地域依存度が大きい小水力発電において、北杜市と連携し、協力して開発した3箇所の小水力発電所はいずれも村山六ヶ村堰を利用させていただくもので、同一用水路(水系)に複数の発電所を建設するのは全国的にも珍しく、また複数地点を同時に建設することで建設期間の短縮や工事費の縮減を実現しました。本事業が民間事業者によって実施されるものであることを十分理解し、円滑な推進に向けて連携、協力いただいた北杜市に心より感謝申し上げます。
また、本事業にご理解、ご協力いただきました村山六ヶ村堰土地改良区、各地域の皆様方をはじめ、関係者の方々のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。今後も三峰川電力は、本プロジェクトで得た経験を基に、全国各地で環境に優しい再生可能エネルギーの創出に積極的に取り組んでまいります。
- 福島県下郷町/花の郷水力発電所
- SHIMOGO TOWN
- 背景
- BACKGROUND
2011年3月に発生した東日本大震災で、下郷町は、原発事故の風評被害で観光客が激減しました。この事態を打開しようと、当時の下郷町長が「水の美しさ、美味しさを世間にアピールしたい」と、積極的な誘致活動を展開してくれたことがきっかけ開発しました。
- 環境への配慮
- CONSIDERATION
水を通すパイプは道路に埋設し、山小屋に見立てた発電所は景色に見事に調和しています。発電に使った水は、再び川に流すので下流への影響がありません。発電所で作った電気は、周辺の住民の家に送られ、エネルギーの「地産地消」を実現しています。
- 地域振興
- REGIONAL PROMOTION
町営のレストラン「三彩館」には、パネルやTVモニターを設置して、小水力発電の仕組みを学べるようになっています。